皆さんは、台湾が実は“ホラー大国”だということをご存知でしょうか?
毎年数本のホラー映画がコンスタントに公開されており、その完成度の高さから、アジア圏で注目を集めています。
たとえば――
- 台湾の白色テロを題材にした話題作『返校(Detention)』
- 日本でもNetflixで話題となった『呪詛(Incantation)』
- 有名な都市伝説を元にした『紅い服の少女(The Tag-Along)』
など、“台湾ホラー”は今やジャンルとして確立しつつあるのです。
そんな中でも、2022年に公開された映画『民雄鬼屋』は、ひと際異彩を放つ存在。
主演は、台湾の大人気ドラマ『華燈初上 -夜を生きる女たちー』でスーママを演じた楊謹華。ホラーファンだけでなく、ドラマファンの間でも話題となりました。
実はこの映画の舞台になっている「民雄鬼屋(ミンション・グイウー)」は、台湾南部・嘉義県民雄郷に実在する心霊スポットなんです。つまり、実在の“最恐スポット”をもとに作られた映画ということ。
これは日本でいうところの『犬鳴村』『牛首村』のような、いわゆる“実録心霊ホラー”の流れに近い作品です。
そんな映画の舞台にもなった、台湾最恐の心霊スポット「民雄鬼屋」に、今回実際に足を運んできました――。
↑現地の実際の様子は動画でご確認ください…
民雄鬼屋とは?その歴史と噂

民雄鬼屋(ミンション・グイウー)は、台湾・嘉義県民雄郷にある西洋風の古びた洋館で、
「台湾最恐の心霊スポット」として知られています。
その不気味な外観と長年放置された雰囲気から、地元では“鬼屋(お化け屋敷)”として語り継がれてきました。
この建物は1929年に建てられ、当初は嘉南平原で一番裕福だった劉家の住宅でした。
しかし、劉家の主人と召使の女性が不倫関係になり、その女性が屋敷の井戸に身を投げたという悲しい出来事があったとか…なかったとか…。
それ以降、さまざまな心霊現象の噂が絶えなくなったと言われています。
とはいえ、民雄鬼屋は観光地としての側面も強く、なんとカフェ「鬼屋珈琲」も併設されています。
そのため日中はカメラを持った旅行者やカップルが訪れ、写真撮影や探検気分で楽しむ人が多いスポットになっています。
また、2022年にはこの場所を舞台にした台湾ホラー映画『民雄鬼屋』も公開され、台湾国内外でさらに知名度が高まりました。
民雄鬼屋へのアクセス

民雄鬼屋へ行くには、電車+バス、電車+タクシー、あるいは電車+徒歩といった手段があります。
最寄り駅は台湾鉄道の民雄駅になります。
ただし、民雄駅から民雄鬼屋までは距離があるため、タクシーを使うのが一番便利です。本数は少ないですがバスも運行しています。
タクシーで行く場合は、帰りの迎車をお願いしておくのがベターです。そうでないと、心霊スポット以上に怖い“野良犬”たちに遭遇することになります…(本当にいます)。
📍 劉氏古厝(民雄鬼屋)の住所
嘉義県民雄郷興中村義橋12号
以下はバス情報ですが、7316系統は本数が非常に少ないです。
最新の情報は現地掲示板やバス会社の公式サイトで確認することをおすすめします。
🚌バス情報
✅ 7316系統(嘉義縣公車)
- 乗車場所:民雄駅近くのバス停(駅前エリア)
- 降車停留所:「義橋」バス停
- ※本数は極めて少ない
✅ 7316A 系統(嘉義縣公車)
- 乗車場所:嘉義駅(Chiayi Station)
- 降車停留所:「義橋」バス停
- 徒歩:バス停から民雄鬼屋まで徒歩約5〜7分
✅ 補足ポイント
- 公共交通+徒歩でも行けるが、荷物が多いと少し厳しいかも。
- タクシーアプリ(台湾だと「55688」など)を入れておくと安心
実際に行ってみて…

実際に民雄鬼屋へ足を運んでみると、確かに異様な空気感が漂っていました。
入口には「南無阿弥陀仏」と書かれており、すでにただ事ではない雰囲気…。
鬱蒼とした茂みを進んでいくのですが、正直お化けより蛇が出そうでそっちの方が怖かったです。
しばらく歩くと、荘厳な佇まいの民雄鬼屋(劉氏古厝)が姿を現します。
他には誰も訪れておらず、私一人きりの空間…。本当に怖かったです。
写真を撮っていると、噂の元凶となった井戸を発見しました。
今は閉じられているためそれほど深くは見えませんが、
その背景にある逸話を思い出すと、思わず鳥肌が立ちました。

屋根はすでに崩れ落ち、外壁だけが残る廃墟。
この場所でかつてどんな人々が暮らしていたのか、
どんな物語があったのか――想像がふくらみます。
ちなみに噂の一つによれば、第二次世界大戦中は旧日本軍の宿舎として使われていたとも言われ、
そのため「日本兵の霊が出る」という目撃談もあるそうです。
そんな中、後から団体さんたちが到着し、突然の撮影大会がスタート。
場の雰囲気は一気にポップ&平和になってしまいました(笑)
「鬼屋珈琲」で一息

心霊スポットを一通り歩き回ったあとは、併設の「鬼屋珈琲」でひと休み。
南台湾の日差しは強く、ついついアイスコーヒーを注文してしまいました。
外観にはかわいいオバケのイラストが描かれており、店内に入るとなんと看板猫がお出迎え。
メニューもお化けや霊にちなんだネーミングで、遊び心たっぷりな雰囲気です。
ふと目を引いたのは、店内に飾られた一枚の古い写真。
そこに写っていたのは、在りし日の民雄鬼屋――
今とはまったく違う、凛として美しいバロック建築の姿でした。
博物館として保存されてもおかしくないような邸宅が、
今では廃墟となり、“心霊スポット”として語られている――
そんな数奇な運命を感じ、しばし写真に見入ってしまいました。
写真に見入っているうちに、いつの間にか店内は満席に。
氷が少し溶けて薄くなったアイスコーヒーを飲み干し、私は静かにその場を後にしました。

地元の人にとっての「民雄鬼屋」

私が民雄鬼屋を訪れたのは、台湾一周徒歩旅の真っ最中のことでした。
その日は大林というエリアから嘉義方面へ歩いていて、ちょうどその途中に立ち寄る形で、民雄鬼屋を目指していました。
歩き始めてから1時間ほど経った頃、ある男性が道端で声をかけてくれました。
「うちに上がって、お茶でも飲んで行きなさい」と――。
こうした交流は台湾を徒歩で旅しているとたびたび起こることで、私もそのご厚意に甘えることにしました。
その方の家は立派な造りの豪邸で、後から聞けば元警察官とのこと。
ご夫婦そろって温かく迎えてくださり、お茶やお菓子をいただきながら、いろいろな話を交わしました。
別れ際、ふと「これからどこへ行くの?」と聞かれたので、
私は「民雄鬼屋です」と答えました。
するとその元警察官の男性は、
『あんなところ行ってどうするんだい!』と爆笑。
確かに地元の人にとっては、ただの古い廃墟でしかないのでしょう。
そのリアクションがあまりに素直で、笑顔で「心霊スポットへ向かいます」と答えた自分にちょっと恥ずかしさを感じつつ現地のリアルな視点を感じられる、貴重な体験になりました。
改めて民雄鬼屋とは
正直なところ、ここ民雄鬼屋で幽霊が出るとか、女性が井戸に身を投げたとか、噂の真相は分かりません。
でも、一つだけ強く感じたことがあります。
それは——台湾人のたくましさです。
実際に徒歩旅をして分かったのですが、民雄の周辺にはこれといって目立った観光地はありません。
観光であれば、多くの人は民雄ではなく隣の嘉義を目指します。何といっても、阿里山がありますから。
それでも、この「雰囲気のある廃墟」に目をつけてカフェを開き、観光客を呼び込む。
その発想力と商売センスには、思わずうなってしまいました。
歩いて、見て、考えて。
台湾にはまだまだ知られていない魅力や、新しい切り口がたくさんある——
そんなことを、あらためて感じた一日でした。
最後に、心の中でふと浮かんだ一句を。
「なければね、作ればいいよ、観光地」
お後がよろしいようなので、本日はこの辺で。
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