台湾旅行で、定番スポットはもう行き尽くしたという方へ。
台北から日帰りで気軽に訪れることができる新北市石門区の「富福頂山寺(通称:貝殻廟)」をご存知ですか?
名前の通り、貝殻や珊瑚、陶器などを使った独特で幻想的な装飾が施された寺院で、
まるで異世界に迷い込んだような雰囲気を味わえます。
この記事では、淡水からバスで行けるアクセス方法や見どころ、参拝時の注意点などを
わかりやすくまとめました。
静かで個性的な寺院巡りを楽しみたい方にぴったりです。
↑富福頂山寺の様子や行き方を動画でも確認しよう
アクセス方法

富福頂山寺
住所:新北市三芝區圓山里二坪頂69號
富福頂山寺へは、台北市中心からもアクセスしやすく、淡水駅からのルートが便利です。
ここでは淡水からバス+三芝(Sān zhī)からタクシーで行く方法を解説します。
- 台北駅から淡水駅までMRT淡水信義線で約40分
台北の中心部から淡水までは、MRTで乗り換えなしのアクセスが可能です。 - 淡水駅から三芝へバス移動(バス番号:860や876の三芝行、863の金山行きなど)
淡水駅のバスターミナルから三芝方面へ向かう路線バスに乗車。バスの本数は多くはないなので、事前に時刻表を確認しましょう。
私は863の金山行きのバスを利用しました。下車バス停は「三芝バス停」となります。 - 三芝バス停からタクシーで富福頂山寺へ約10分(約250〜350元)
三芝のバス停からお寺までは徒歩だと距離があるため、タクシー利用がおすすめ。タクシーの運転手さんに「富福頂山寺(Fù fú dǐng shānsì)」と伝えましょう。タクシーは三芝バス停近くの全家(Family Mart 三芝吉祥店前に停車している事が多いです)
↑タクシーはここに停車している事が多いです
↑山奥にある寺院だと地図からも分かります
富福頂山寺(貝殻廟)の歴史と特徴

富福頂山寺の主なご本尊である濟公(じこう)禅師の神像は、もともと新北市三重区にある「富福社」の信者たちが順番に自宅へ持ち帰って祀っていたものでした。
寺を建てた李樹欉氏は、若い頃に日本で海産物の缶詰製造に従事していた経験があり、1970年代から貝殻や珊瑚をコレクションし始めていました。
そして1996年、李氏は「交代で祀る生活に区切りをつけたい」と濟公禅師に願をかけ、貝殻で飾られた寺院を建てることを決意。陶器彫刻の名匠たちや台湾芸術大学の学生たちとともに、6万個以上の貝殻を使って2年の歳月をかけ、1998年に寺院が完成しました。
完成当初は、新北市三芝区圓山村の約50坪ほどの敷地に建てられ、「三芝貝殻廟」としてインターネットや口コミで徐々に話題に。参拝客が増えたことから、より広い敷地を求め、石門区・富基漁港近くへの移転が決まりました。現在の富福頂山寺は、海と山に囲まれた静かな場所にあり、地元の人々の信仰を集めながら、訪れる人々を魅了し続けています。
実際に参拝してみた

寺院の入口に立った瞬間、その独特な外観に圧倒されました。外壁から屋根、門の柱に至るまで、大小さまざまな貝殻や珊瑚がびっしりと貼りつけられていて、遠くから見るとまるでファンタジーの世界に迷い込んだかのような不思議な雰囲気を放っています。
お堂の中へ一歩踏み入れると、その世界観はさらに深まります。狭く曲がりくねった参道の壁や天井にまで貝殻の装飾が施されており、まるで“貝のトンネル”を進んでいるような感覚。歩くたびに足音が静かに反響し、光が貝殻の表面に当たってわずかにきらめく様子が、とても幻想的で印象的でした。
よく見ると、一つひとつの貝殻にはカットや配置の工夫が凝らされていて、単なる装飾ではなく、職人たちの丁寧な手仕事と信仰の心が込められていることが伝わってきます。驚くほど細やかで、無数の貝でできた壁を前にすると、時を忘れてじっと見入ってしまいました。
装飾の派手さに目を奪われがちですが、そこには「誰かに見せるため」というよりも、長年にわたって信仰を続けてきた人たちの“祈りの積み重ね”が感じられました。表面的な華やかさだけでなく、その裏にある物語や想いがしっかりと息づいていて、心がじんわりと温かくなるような、そんな場所です。
観光地とは違う、静かで敬虔な空気が流れているこのお寺。台北からそう遠くない場所に、こんなにも異質で、美しくて、静かに心を揺さぶる場所があるとは思っていませんでした。
参拝時の注意点
- リュックやバッグは前に抱えて入る
お堂の中は狭く、貝殻の装飾が繊細なため、後ろに背負ったままだとぶつけて壊す恐れがあります。 - 足元に注意
土堂の中は階段や狭い道もあるため、歩きやすい靴がおすすめです。 - お堂に入る前にお線香を
これは実際注意書きもしてあるのですが、貝殻のお堂に入る前に本堂でお線香をお供えしましょう。お線香を供えないと不十分との事らしいです。
静かに祈りと美に触れる時間を

台北から日帰りで行ける新北市・石門区の「富福頂山寺(貝殻廟)」は、
観光ガイドにはあまり載っていないものの、一度訪れたら忘れられない強烈なインパクトと、
静かで敬虔な空気に包まれた、まさに“穴場”と呼ぶにふさわしい寺院です。
その外観はもちろん、内部に広がる貝殻と珊瑚の世界は圧巻。
装飾のひとつひとつに込められた想いと手仕事の美しさに、自然と足を止めてしまうはずです。
淡水からバスとタクシーを使えばアクセスも難しくなく、ちょっと特別な日帰り旅にぴったり。
台北や淡水周辺を何度か旅したことのある方にこそ、ぜひ訪れてみてほしい場所です。
静かに手を合わせながら、貝殻に囲まれた幻想的な空間で過ごす時間は、
きっと心の奥に残る旅の思い出になるはずです。
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Chan Kei Profile

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