今回のブログでは、私が旅行で訪れた中国・上海での体験をまとめてみたいと思います。
この記事を書こうと思ったきっかけは、近年高まっている中国での反日感情や、日本での反中感情を日常の中で強く感じるようになったからです。少し前の旅にはなりますが、忘れてしまう前に自分の体験を残しておきたいと思いました。
これから中国旅行を考えている方や、「反中・反日」という報道の中で、実際現地はどのような様子なのか気になっている方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
本記事は私自身の実体験をもとに書いていますが、旅をしたのは2018年であること、また国慶節の時期で上海以外からも多くの中国人が訪れていたこと、この2点を踏まえて読み進めていただければと思います。
私の中国に対するスタンス
まず最初に、私自身の中国に対するスタンスについてお伝えしておきたいと思います。
近年では、反中を主張すればSNSで称賛され、逆に親中を示せば強い批判を受けることがあるのは理解しています。
私がこれまで関わってきた中国人の友人や仕事仲間は、皆とても誠実で良い人ばかりでした。
一方で、中国人観光客を中心にマナーを守らない人や、日本のルールを軽視する人が多いのも事実です。
さらに政治面では、中国共産党による反日教育、ウイグル弾圧、台湾への圧力、一帯一路構想など、到底受け入れられない要素も多くあります。特に台湾については、私には多くの台湾人の友人や恩人がいるため、この点には一層強く抗議したい思いがあります。
中国は人口が非常に多いため、どうしても悪い部分ばかりが目立ちがちです。ですが、必ずしも全員がそうではないということを、私は実際の交流を通して強く感じています。
そのため「中国人だから嫌う」という姿勢は、今までも、そしてこれからも持つつもりはありません。
日本のルールを守り日本を尊重してくれる方は何人だろうとウェルカムです。
私が上海旅行を決めた理由
続いて、私が上海旅行を決めた理由についてお話ししたいと思います。
当時の私は一人で海外旅行をすることに夢中になっており、すでに台湾へは4回訪れていました。少し自信もついてきたので、次は他の国にも行ってみたいと思い調べてみると、台湾へ行くのとあまり変わらない値段で上海に行けることが分かりました。
「反日感情があるとはいえ、旅行する分には台湾と大きく変わらないだろう」と思ったのも大きな理由です。
さらに、幼少期からジャッキーチェンに強い憧れがあり、そのミュージアムを訪れてみたかったこと。
そして映画『ミッション・インポッシブル3』のロケ地となった「西塘」に行ってみたかったこと。
これらを含めた三つの理由が、私を上海旅行へと向かわせました。
上海旅行の様子
上海に到着してから知ったのですが、私が訪れた10月はちょうど中国の大型連休「国慶節」の真っ最中でした。
電車の中はもちろん、街中も人で溢れかえり、とても観光をのんびり楽しめるような雰囲気ではありません。よく土日に新宿や池袋が混雑していますが、その比ではないほどの人の多さでした。しかも観光客の多くは外国人ではなく、中国国内の別地域から訪れているんだろうなと思われる方々だったのも印象的でした。
観光スポットとしては、目的だったジャッキーチェンミュージアムや西塘をはじめ、東方明珠電視塔、外灘、豫園などを巡ることができました。
ただ、観光をしていて台湾旅行と大きく違うと感じたのは「英語がほとんど通じなかったこと」です。
当時の私は中国語を全く話せなかったため、食事をするたびにどう注文しようかと悩み、正直ストレスを感じる場面が多々ありました。台湾のお店では、言葉が通じなくても翻訳機やジェスチャーでお互いにコミュニケーションを取ろうとする姿勢があります。しかし中国では、そのような配慮はあまり感じられず、そもそも話を聞こうとしない雰囲気すらありました。
もちろん、自分の英語力不足も原因の一つではありますが、難しい単語を使っていたわけではありません。数字の「1、2、3」などごく単純な言葉でさえ理解されず、困惑したことを今でも鮮明に覚えています。
この点については後ほど改めて詳しく触れたいと思います。
上海での体験談
それではここから、上海旅行で特に印象に残った体験談をいくつかご紹介したいと思います。
実際に滞在してみると、やはりカルチャーショックを受ける場面が数多くあり、一つ一つの出来事が強く記憶に残っています。
話せないなら帰れ
これは先ほどの「英語が通じない」という話の具体例になります。
ある夜、夕食に麺を食べようとお店に入ったときのことです。注文方法や座席のシステムが分からなかったため、店員さんに英語で尋ねてみました。しかし、店員さんは話を聞かず、手で「シッシッ」と追い払うようなジェスチャーをしてきたのです。
どの国でもこのような対応をされたのは初めてだったため、正直とてもショックを受けました。
一生電車に乗れない降りれない
上海に到着して電車に乗った瞬間、すぐに気づいたことがあります。
それは、中国人は電車に乗る際に列に並ぶことがほとんどないということです。降りる人が優先というルールもなく、駅に電車が到着するたびに、まるでアメフトのスクラムのような混雑が始まります。降りたい駅で降りられないことも多々ありました。
また、バスで高速道路に乗ったときも、合流の際に誰も譲らないため大渋滞が発生している場面に遭遇しました。もちろん、国慶節での特別な混雑の影響もあったかもしれません。
それでも、この体験を通して、「中国では譲り合いの精神があまり浸透していないのだな」と感じました。地下鉄のホームに書かれている「文明人は並びましょう」というスローガンが、少し虚しく思えた瞬間でもありました。
横入り婆さん
このエピソードは、水郷地帯「西塘」へ行くために、上海南駅のカウンターでバスのチケットを購入していたときのことです。
英語が通じないため、画像や翻訳機を見せながら一生懸命「西塘に行きたい」とスタッフに伝えていました。すると、しびれを切らしたのか、後ろに並んでいたお婆さんが私の隣に来て、突き飛ばそうとタックルしてきたのです。(実際には1分もかからない間の出来事でした)
腹立たしく思いましたが、「ここは中国だし、もし突き返して当たり屋だったら面倒なことになる」と判断し、徹底的に無視することにしました。何もいないかのように振る舞い、チケット購入を続けました。その間もずっとタックルは続きました。もちろんスタッフさんは見て見ぬふりです。
横入りだけならまだしも、タックルまでしてくるとはどんな根性なのだろう、と今でも驚かされるエピソードです。
そこトイレじゃないけど…
このエピソードは、地下鉄に乗るため駅のホームへ向かっていたときのことです。
上海の駅では荷物検査があるため列に並んでいたのですが、ふと横を見ると、列から外れた場所で母親が子どもに立ち小便をさせていました。思わず「いくらなんでも場所は選ぼうよ…」とギョッとしたのを覚えています。
そういえばトイレ関連のエピソードは他にもあります。
上海へ向かう際に利用した中国東方航空の機内トイレは、離陸から1時間ほどでとても酷い状態になっており、これには本当に驚きました。
また、西塘で入ったトイレでは、男子用の小便器が仕切りのない「ただの壁」だったのです。思わず笑ってしまいましたが、これもまた強烈に記憶に残る体験でした。
安全対策とは自己責任
これは水郷地帯「西塘」でのエピソードです。
西塘はとても素敵な雰囲気を持つ水郷地帯で、『ミッション・インポッシブル3』のロケ地にもなった場所。私が上海を訪れた大きな目的のひとつでもありました。
実際に現地へ着くと、相変わらずの人の多さにげんなりしつつも、ずっと憧れていた景色を目にして大満足。バスに乗って遠出をした甲斐があったと感じました。
しかし、人の数に対して通路が非常に狭く、柵もないため「これ、落ちる人が出てもおかしくないのでは…」と不安に思っていた矢先、まさにその出来事が起こってしまいました。反対岸にいた中学生くらいの女の子が、足を踏み外して水の中へ転落してしまったのです。
周囲は騒然となりましたが、その子のお父さんと思われる男性とお兄さんがすぐに飛び込み、必死に救助。しばらく女の子が浮かんでこない時間もあり、本当に心臓が凍るような瞬間でした。助かって本当に良かった…。
この一件を目の当たりにして、中国では「安全管理」や「予防」よりも、基本的に「自己責任」という意識が強いのだなと痛感しました。
抗日映画
西塘から上海に戻る帰りのバス内での出来事です。観光客の中で日本人は私だけで、他に日本人旅行者は見かけませんでした。バスの中では映画が上映されていたのですが、途中から日本軍が登場したことで、すぐにそれが「抗日映画」であることに気づきました。
国慶節の時期でしたし、たまたま選ばれた作品だったのかもしれません。しかし、日本人である自分としては何とも言えない気まずい時間を過ごすことになりました。
最近でも「南京写真館」や「731」などの映画が注目されていますが、やはり「視覚的に訴えるもの」が人々の歴史認識に与える影響は小さくありません。その意味で、このバス内での体験は、私にとって深い考えを呼び起こす出来事となりました。
親切な人もいた
ここまでカルチャーショックな体験をお伝えしてきましたが、もちろん親切な人たちとも出会いました。例えば、飛行機の中で私の座席のUSBが壊れて携帯の充電ができず困っていた時、隣の中国人のおじさんが「ここを使いな」と自分のUSBの場所を貸してくれました。
空港から電車に乗った際も、乗り換えのタイミングで親切に教えてくれる人がいました。
また、夕飯で立ち寄った日本料理屋の店員さんたちも、とても明るく温かく接してくれました。
ショックを受けた出来事も、優しさに触れた出来事も、どちらも私にとって大切な体験です。こうした気づきや学びは、実際に現地へ行ってみなければ分からないことだと思います。
生きてく強さ
私が中国へ行って強く感じたことは、中国の人たちは良く言えば「生きてく強さ」をとても持っている、ということです。これは言葉ではうまく説明できないのですが、日本人にはあまりない感覚だと感じました。自己犠牲を美徳とする日本と、強くならないと生きていけない中国とでは、根本的に価値観が違うのだと思います。
そのうえで、私は一度「社会見学」のつもりで中国を訪れることをおすすめしたいです。相手を理解することで分かり合えることもあるだろうし、同時に危機感を持つこともできるはずだからです。
たった4日間滞在しただけなのに、多くの経験ができました。
もちろん「郷に入っては郷に従え」という言葉があるように、私が経験したことが中国では常識であるならば、私がとやかく言う資格はありません。ただしそれと同じように、中国の方が日本に来る時は、日本のルールやマナーを事前にきちんと学んできてほしいなと思います。それができないのなら、お互いに嫌な思いをしないためにも来ない方が良いと思います。
これは我々日本人にも言えることです。少し大げさに聞こえるかもしれませんが、海外を旅行する時は「日本を代表してこの国に来ている」という意識を少しだけでも持つべきではないでしょうか。
私自身、台湾を旅していた時に「日本人のトラブル」がニュースになり、肩身の狭い思いをした経験があります。飛行機内で大暴れした日本人女性や、機内で酒盛りして騒いで飛行機を引き返させた日本人男性グループ、最近では盗撮をして捕まった日本人まで…。こうした一部の行動で、日本人全体の印象が悪くなるのは本当に悲しいことです。
――さて、今の私たち日本人は、中国の方のことを言えるほどのマナーの良さがあるでしょうか?
今一度、自分たちの行動を考え直す時期なのかもしれません。堅苦しく考える必要はありません。楽しんで、はしゃいで、それでいいのです。ただ一つ「当たり前の意識」だけは持っておきたい。私はそう思います。
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Chan Kei Profile

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