台湾中部に位置する嘉義は、世界的に有名な「阿里山」の玄関口として知られていますが、市街地にも歴史ある建築やローカルグルメ、観光スポットが点在しており、見どころ満載のエリアです。
台中や台南からのアクセスも良く、日帰りでも一泊でも気軽に訪れることができます。
この記事では、阿里山から嘉義市街地の観光地、名物グルメ、お勧めホテル、夜市まで、初めての方にもリピーターにも役立つ観光情報をまとめてご紹介します。
「阿里山だけじゃない」嘉義の魅力を、ぜひ次の台湾旅行の参考にしてみてください。
※嘉義の港町、布袋と東石についてはこちらのブログ記事を参照願います。
観光地
まずは嘉義の観光地をご紹介します。自然豊かな阿里山から歴史を感じられる市街地のスポットまで、嘉義には見どころがたくさんあります。是非自身の行ってみたい場所を探してみましょう。
阿里山森林鉄道

嘉義観光の目玉のひとつが、「阿里山森林鉄道(阿里山森林鐵路)」です。日本統治時代の1912年に開通したこの登山鉄道は、標高約2,000mまで駆け上がる全長約71kmの山岳路線で、ノスタルジックな赤い車体と山あいを抜ける美しい景観が魅力です。
2024年7月6日からは、土砂災害などの影響で一時的に部分運休していた区間を含め、ついに全線で運行が再開されました。これにより、嘉義駅から阿里山駅までの全区間を鉄道で楽しめるようになり、より便利に阿里山の自然美と歴史を満喫できます。
途中の停車駅では、昔ながらの山村やレトロな街並みを楽しむこともでき、特に奮起湖老街は駅弁文化やノスタルジックな雰囲気で観光客に人気のスポットです。
また、阿里山駅から先には、ご来光鑑賞のための祝山線や、巨木群の神木線などの支線もあり、阿里山の豊かな自然を満喫する特別な体験が待っています。
鉄道の乗車は混雑が予想されるため、事前予約をおすすめします。
阿里山鉄道に詳細はこちらの記事をご覧ください。
↑阿里山鉄道の様子は動画をご覧ください
臺灣花磚博物館

臺灣花磚博物館(Taiwan Old Tile Museum)は、嘉義市の林森西路に位置する、台湾の伝統的な花磚(タイル)文化を保存・展示する私設博物館です。
この博物館は、元々は「德豐材木商行」という木材商の古い建物を改装したもので、館長の徐嘉彬氏が20年以上にわたり、台湾各地の老舗家屋から取り外された花磚を一枚一枚丁寧に修復し、集めてきました。
館内には、約1,500枚の花磚が展示されており、これらは1915年から1935年の間に日本から台湾に伝わり、主に屋根や外壁、玄関などに装飾として使用されていました。
花磚のデザインは、幾何学模様や花鳥風月、動植物など多岐にわたり、当時の人々の願いや生活の象徴が込められています。
博物館は、花磚の歴史や製作過程、修復技術などを学べる貴重な場所であり、台湾の伝統文化に触れることができます。
また、館内では花磚を使用した文創商品や、修復体験などのワークショップも開催されており、訪れる人々にとって楽しく学びの多いスポットとなっています。
花磚は、台湾の建築や生活文化に深く根ざした存在であり、博物館を訪れることでその魅力を再発見することができます。
↑臺灣花磚博物館の様子は動画をご覧ください
森林之歌

嘉義市東区にある「森林之歌」は、阿里山の自然と林業文化をテーマにした大型アート作品であり、市内の新たな観光スポットです。アーティストの王文志氏が設計し、地元の素材を用いて制作されたこの構造物は、高さ約14メートル、長さ約55メートルにも及び、阿里山の神木や森林鉄道の壮大な自然を象徴しています。
昼間はその大きな木の形が自然と調和し、訪れる人に森林の息吹を感じさせます。夜になるとライトアップされ、幻想的な光の演出で一層神秘的な雰囲気を醸し出し、訪問者を魅了します。場所は嘉義市の文化路と林森西路の交差点近くにあり、無料で自由に散策できるため、阿里山観光の前後に立ち寄るのにも便利です。
「森林之歌」は、アートと自然が融合した空間として、嘉義の豊かな自然環境と文化を体感できるおすすめのスポットです。
檜意森活村

嘉義市東区にある檜意森活村は、台湾最大級の日本式木造建築群が集まる文化施設です。もともとは1912年に阿里山森林鉄道の建設に伴い、林業従事者とその家族のために建てられた日本式の官舎群で、高級な檜材を使用した美しい建築が特徴です。2008年からの復元プロジェクトによって整備され、現在は観光客向けに開放されています。
村内には28棟の歴史的な建物が立ち並び、伝統的な日本家屋の見学や和服や原住民族の民族衣装のレンタル、陶芸や木工のワークショップなど、多彩な体験ができます。また、地元の特産品や手作り雑貨を販売するショップもあり、観光客に人気です。
夜にはライトアップされ、昼間とは違った幻想的な雰囲気を楽しめるほか、季節ごとに様々なイベントも開催されています。嘉義駅から徒歩約15分とアクセスも良く、歴史と文化を感じながらゆったり過ごせるおすすめのスポットです。
中央噴水池

嘉義市の中央噴水池は、市街地のど真ん中に位置する歴史的なランドマークです。日本統治時代に整備され、市民の憩いの場として長く親しまれてきました。
この噴水池は、嘉義農林学校(現・国立嘉義大学)の野球部が1931年の甲子園大会で準優勝を果たした栄光の歴史とも深く結びついています。噴水池の中心には、当時のスター投手であった呉明昌(ごめいしょう)投手の銅像が設置され、その功績を今に伝えています。
噴水池は嘉義の歴史や野球文化の象徴として、地元住民だけでなく観光客にも人気のスポットです。
KANO園区

嘉義市東区にあるKANO園区は、映画『KANO 1931海の向こうの甲子園』の舞台となった嘉義農林野球部の歴史を讃える都市公園です。
園内には1918年開場の嘉義市立野球場をはじめ、直径約5メートルの巨大なアルミ製ボール「KANO景観球」や、人工芝のスライダーなど、多彩な遊具やモニュメントが設置されています。
2022年には観光案内所「KANO遊客中心」も開設され、観光情報や地元特産品の購入が可能です。アクセスも良く、野球ファンはもちろん家族連れや観光客にもおすすめのスポットです。
↑KANO園区の様子は動画をご覧ください
嘉義公園と射日塔

嘉義公園は嘉義市の中心部にある広大な都市公園で、地元の人々や観光客の憩いの場として親しまれています。園内には緑豊かな散策路や池、運動施設が整備されており、四季折々の自然を楽しみながらゆったり過ごせます。家族連れやジョギングをする人、散歩やピクニックにも最適なスポットです。
公園のシンボルである射日塔は高さ約62メートルの展望塔で、1980年代に建設されました。
嘉義のランドマークとして知られています。展望台からは嘉義市街や周囲の山々、晴れた日には遠くの阿里山まで一望できる絶景スポットです。夜にはライトアップされ、美しい夜景も楽しめます。
嘉義公園と射日塔は一緒に訪れるのがおすすめで、自然と文化、歴史を感じられる充実した観光スポットとなっています。
嘉義愛木村

嘉義市東区にある愛木村休閒観光工場は、台湾初の木材をテーマにした観光施設です。1966年に創業した順益木業を前身とし、2016年に観光工場としてリニューアルオープンしました。檜木の香りに包まれた空間で、木材の魅力を学びながら楽しめるのが特徴です。
施設内には樹齢約2,000年の千歳紅檜の巨木が展示されており、自然の力強さを感じられます。また、檜木の歴史や特徴を紹介する展示コーナーや、木製の風鈴や小物を作るDIYワークショップもあり、親子連れにも人気です。木材に関する知識をゲーム感覚で学べるエリアや、檜木を使った文創商品を販売するショップも充実しています。
営業時間は午前9時から午後5時30分まで。嘉義駅からタクシーで約10分のアクセスで、嘉義観光の合間に気軽に立ち寄れるおすすめスポットです。
北回帰線標

台湾嘉義県にある嘉義北回帰線標は、地球上の重要な緯線の一つである「北回帰線」が通過する地点を示す記念碑です。
北回帰線とは、地球が太陽の周りを公転する軌道と地軸の傾きによって決まる、北緯約23.5度の線を指します。この線より北側では夏至の日に太陽が真上に来ることがなく、南側では夏至に太陽が真上に昇ります。北回帰線は、太陽が真上に来ることができる北の限界線とも言われています。
嘉義は台湾のちょうどこの北回帰線の位置にあり、ここに立つと夏至の前後に「立竿不見影(竿を立てても影ができない)」という珍しい現象が観察できます。これは太陽が真上にあるため、棒の影がほとんど見えなくなる現象で、多くの観光客が訪れてその瞬間を楽しみます。
嘉義北回帰線標は、その緯度の重要性を示す記念碑として設置されており、周囲には緑豊かな公園が整備されています。自然と科学、そして台湾の地理的特徴を身近に感じられるスポットとして、観光はもちろん教育の場としても人気です。
グルメ情報
続いては嘉義のグルメ情報をお届け。嘉義は豊かな食文化で知られるグルメの街です。特に名物の「火鶏肉飯(鶏肉飯)」は、地元で愛されており、シンプルながら深い味わいが魅力で、多くの店が競い合っています。その他にも新鮮な海鮮料理、手作りの小吃(屋台料理)も充実しています。
文化路夜市

嘉義市の文化路夜市は、市の中心部に位置する人気のナイトマーケットです。毎日午後3時頃から深夜まで営業しており、地元の人や観光客で賑わいます。ここでは嘉義名物の鶏肉飯や砂鍋魚頭、牡蠣オムレツなど、多彩な台湾グルメを楽しむことができます。
また、衣料品やアクセサリー、台湾雑貨の屋台も多く並び、食事だけでなくショッピングやゲーム、占いなども楽しめる活気あふれるスポットです。ライトアップされた通りを歩きながら、台湾の夜の雰囲気を存分に味わえる、嘉義観光には欠かせない場所となっています。
林聰明沙鍋魚頭

林聰明沙鍋魚頭は、1953年創業の嘉義を代表する老舗の名店で、地元民から愛される伝統の味として知られています。実は嘉義には「北門砂鍋魚頭」という、林聰明の兄弟店ともいえる人気店があり、両店は親戚関係にあるため味のルーツは同じですが、細かな味わいに違いがあり、それぞれにファンがいます。特に北門砂鍋魚頭は「地元の味」として親しまれており、どちらもそれぞれの魅力があります。
林聰明の看板メニュー「沙鍋魚頭」は、長時間煮込んだ豚骨ベースのスープに、揚げた魚の頭や新鮮な魚肉、豆腐、大白菜、キクラゲ、干しエビなどがたっぷり入った鍋料理です。特徴的なのは、通常とは異なる特製の沙茶醤(サーチャージャン)を使っていることで、油っぽさを抑えながらもコクのある味わいが楽しめます。スープには淡い鰹節の香りも感じられ、飲み干したくなるほどの後引く美味しさです。
店内では、冷菜や鴨肉飯なども提供されており、白飯の炊き加減も評価されています。揚げたての魚の皮「魚泡泡」も人気メニューで、注文後に揚げるためサクサク感が抜群です。
小サイズの沙鍋魚頭は2~3人でちょうど良いボリュームで、内用客にはスープのおかわりが無料なのも嬉しいポイントです。地元の味を求めて多くの人が訪れる林聰明沙鍋魚頭は、嘉義グルメの代表格として外せない名店です。
噴水鶏肉飯

噴水鶏肉飯は、嘉義市のランドマーク「中央噴水池」近くに1949年創業した、鶏肉飯発祥の店の一つとして知られる老舗の名店です。創業者の林添壽氏から始まり、二代目の林昭正氏、そして現在は三代目が経営を引き継ぎ、70年以上にわたって嘉義の味を守り続けています。
店名の「噴水」は、お店のすぐ隣にある象徴的な「中央噴水池」に由来しています。創業当初から中山路のこの地に店を構えており、観光客にも非常にアクセスしやすい場所です。
嘉義の鶏肉飯は、蒸した七面鳥(火鶏)の肉をスライスまたはほぐして白飯にのせ、香ばしい鶏油と醤油ベースの秘伝ダレをかけた、シンプルながら旨味が詰まったローカルグルメ。噴水鶏肉飯では、その伝統の味を守りつつ、安定した品質を提供し続けています。現在も一杯50元という良心的な価格で味わえるのも魅力のひとつです。
2020年以降のコロナ禍では、来店客数が半減、売上が3分の1減少するなど大きな打撃を受けながらも、経営を継続。
現在では企業経営的なスタイルへと移行しつつも、地元民や観光客にとって「嘉義といえば噴水鶏肉飯」と言われる存在であり続けています。平日でも食事時には多くの人が行列を作る、嘉義グルメの象徴的存在です。
民主火鶏肉飯

民主火鶏肉飯は、嘉義市東区の民族路沿いにある、地元民にも観光客にも高い人気を誇る鶏肉飯(火鶏肉飯)の専門店です。嘉義名物である鶏肉飯を提供する店の中でも、「行列必至」の名店として知られています。
この店の特徴は、しっとりとした七面鳥の肉(火鶏肉)に、香ばしく揚げたネギ(油蔥酥)をたっぷりとかけ、自家製の鶏油と醤油ベースのタレをかけて仕上げた一杯。シンプルながらも風味豊かで、地元グルメを初めて体験する人にも親しみやすい味わいです。
また、鶏肉飯以外にも冷菜や小皿料理が充実しており、豚肉のにんにくソースがけ(蒜泥白肉)や煮卵、筍の煮物など、どれも丁寧に調理された副菜がそろっています。これらを鶏肉飯と一緒に楽しむことで、より一層ローカルな食体験が味わえます。
お店は明るく清潔感があり、アクセスも便利。営業時間も長く、ランチタイムからディナータイムまで途切れることなく営業しています。
地元グルメの真髄を味わえる民主火鶏肉飯は、嘉義で鶏肉飯を食べるなら外せない名店のひとつです。シンプルな料理ながら、一度食べたらその奥深さにきっと驚かされることでしょう。
ホテル
最後に嘉義でおすすめのホテルをご紹介しましょう。嘉義には安くて過ごしやすいホテルがたくさんありますが、今回はその中でも特にオススメの2つをご紹介します。快適な旅を楽しむためにも、自分のスタイルに合ったホテルを選ぶことが大切です。
嘉冠大飯店

嘉冠大飯店(Chiayi Crown Hotel)は、嘉義駅から徒歩わずか5分という好立地にある、観光にもビジネスにも便利な中規模ホテルです。嘉義市の中心部に位置し、文化路夜市や中央噴水池といった主要観光地にも歩いてアクセスできるため、嘉義を初めて訪れる旅行者にもおすすめの宿泊先です。
客室は清潔で落ち着いた雰囲気。スタンダードなダブル・ツインルームに加え、家族やグループ向けの広めの部屋も用意されています。全室にエアコン、テレビ、電気ポット、Wi-Fi、専用シャワールームなど基本的な設備が整っており、快適に滞在できます。
建物自体はやや年季を感じさせますが、手入れが行き届いており、スタッフの対応も丁寧。価格帯も比較的リーズナブルで、コストパフォーマンスの高いホテルとして知られています。
嘉義市街地を拠点に阿里山鉄道や市内観光を楽しむなら、嘉冠大飯店は立地・設備・サービスのバランスが取れた安心の宿泊先と言えるでしょう。
KM Hostel

KM Hostel(KM ホステル)は、嘉義市中心部に位置する人気のホステルで、嘉義駅や文化路夜市から徒歩わずか5分という抜群の立地が魅力です。全室エアコン、無料Wi‑Fi、電気ケトル完備で、清潔・快適な客室に加え、共有キッチンやラウンジ、自動洗濯機、荷物預かりなど旅行者にうれしい設備が揃っています。
ゲストからは「中心街に近く、清潔で快適」「スタッフはWhatsAppで即対応」「寝具が心地良く静か」など高評価が多数寄せられており、総合評価は8.9〜9.2と非常に高い評価を受けています 。
自炊もできる共有キッチンは長期滞在にも便利です。セルフチェックイン方式なので、ゲストが自由に出入りしやすいのもポイントです 。
徒歩圏内には文化路夜市、嘉義公園、嘉義駅、嘉義市立博物館など主要スポットが揃い、市街歩きの拠点に最適。昼間は阿里山観光へ、夜は夜市を楽しむ旅行スタイルにぴったりの宿です。
まとめ
嘉義は、阿里山だけじゃない。森林鉄道のノスタルジックな旅から、街中の歴史スポットやアート公園、夜市のグルメまで、多彩な楽しみ方ができる街です。
鶏肉飯の本場として知られ、老舗の味から地元民が通う穴場まで食の満足度も抜群。夜は文化路夜市で食べ歩きをしながら、台湾の庶民文化をじっくり感じることができます。
宿泊は、好立地のホテルやスタイリッシュなホステルが揃っているので、旅のスタイルに合わせて選べるのも魅力。
台北や台南からのアクセスも良好で、日帰りはもちろん、1泊2日〜2泊3日での滞在にもおすすめです。
歴史・自然・グルメがバランスよくそろう嘉義は、台湾旅行の中でも“通好み”な旅先。
まだ行ったことがないなら、次の旅でぜひ“嘉義の魅力”を体感してみてください。
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Chan Kei Profile

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