今回の記事では台湾の宗教、民間信仰についてご紹介したいと思います。台湾には沢山の寺院や廟があります。その数は台湾に存在するコンビニの数よりも多いそうです。実際自分も台湾中を旅する中で沢山の宗教施設を訪れる機会がございました。台湾では家庭でも会社でも政治でもエンタメでも信仰が非常に重要視されています。仕事帰りの方がスーツのまま廟を参拝している姿なども度々目にしました。日本人には特に道教などはあまり馴染みのない宗教ではありますが、少しでも理解する事で台湾をもっと身近に感じる事が出来るようになると思います。
現在の台湾の民間信仰

現在の台湾の民間信仰は道教と仏教が融合した形で広く行われています。
- 道教と仏教の儀式や神々が一緒に信仰され自然に共存している。
- 土地公や媽祖など道教の神々が日常的に信仰され守護神として重要視されている。
- 観音菩薩などの仏教の神々が信仰され、仏教の儀式や祈りも行われている。
- 家庭でも道教と仏教の神々が一緒に祀られ日常的に信仰されている。
このように道教と仏教の融合が台湾の宗教文化の根本にあり、多種多様な信仰体系が形成されています。
台湾で移民の受け入れやLGBTQに寛容であるのは、このような事情も理由の一つになっております。
寺院と廟の違いについて

台湾では『寺院』は一般的に仏教施設を指し、『廟』は道教施設を指すことが多いですが、実際には明確な区別は難しい場合があります。また両者を合わせて『寺廟』と呼ぶこともあります。
寺院:仏教の施設を指す言葉で、寺院には『~寺』という名前がつきます。
廟:道教の施設を指す言葉で、廟には『~廟』や『~宮』という名前がつきます。
寺廟:仏教と道教の施設をまとめて指す言葉で、特に台湾では神仏混淆が一般的なため、区別が曖昧な場合があります。
台湾の廟のお参りの仕方

- お供え物を準備し献上する。
- 線香をたく。
- 線香を持って三回お辞儀をしてから祈る。
- 線香を立てた後に再度3回お辞儀をする。
- 金紙を焼く。
- お供え物を片付ける。
まず注意事項として寺院へ入る際に門の敷居を踏んではいけません。また左足から入ることが作法とされています。
お線香をあげる際は順番が決まっています。殆どの場合お線香に火をつける場所に張り紙が貼ってあり、参拝する順番が書いてあるので確認してから参拝を開始しましょう。お願い事をする時は心の中で自分の名前、住所、生年月日を告げ、願い事をしましょう。
お供え物に関してはそのまま置いて行っても、持って帰って食べても問題ありません。
台湾の神様について
それでは自分が台湾を旅する中で出会った7柱の神様をご紹介したいと思います。台湾の民間信仰におけるとても重要な神様ですので、旅行する前に覚えておけば実際に出会える機会も多くあると思います。

王爺
台湾の民間信仰において非常に重要な神。主に土地や地域を守る守護神とされている。災害から守り地域の平和を保つ役割を果たしている。

土地公
家や土地の守護神とされている神様。台湾の各地に土地公の寺院があり、人々は健康や家運を願って参拝する。

媽祖
媽祖様は海上の守護神で特に漁師や航海者に崇拝されている。海上での安全を祈るために媽祖の寺院は海沿いに多く存在している。

玄天上帝
道教における天地と人間の事務を司る神様。正義と平和を守る役割を持っている。台湾では非常に重要な信仰対象となっている。

中壇元帥
中壇元帥も台湾の民間信仰における重要な神で主に人々を災難から守り平和を保つ役割を果たしている。信者は安全と保護を祈る。三太子とも呼ばれている。

虎爺
虎の形をした神で主に『守護』『威厳』『悪霊の追放』などの役割を持ち、信者に力強さや保護をもたらす存在とされている。

月下老人
縁結びの神として知られており、男女の縁を結び、運命を導く神として広く親しまれており、特に結婚を希望する人々や恋愛成就を願い人々に信仰されている。
伝統的な行事やイベントについて
台湾では各地域で年中お祭りや行事、イベントが開催されています。旅行中ホテルで休んでいると外から爆竹の音が聞こえてくるなんと事も多くありました。私が実際に遭遇した行事、深く調べた行事をご紹介したいと思います。

大甲媽祖繞境
台湾の伝統的な宗教行事の一つで、毎年旧暦の3月に行われる媽祖を称える大規模な巡礼イベントです。台中市の大甲鎮を出発し媽祖の神像を乗せた祭りの行列が約9日間にわたり周辺地域を巡る。参加者は媽祖の神力を求めて神像と一緒に歩き、平安や繁栄を祈願します。

東港迎王平安祭
台湾の屏東県東港で3年に一度行われる伝統的な祭りです。台湾で最多の参加者数と最大規模を誇ります。この祭りは『王爺』を迎えるための祭りで、その歴史は17世紀ごろまでに遡ります。疫病などから人々を守るために始まった行事です。2010年には文化部の重要文化資産として認定されました。地元の職人たちが時間をかけて作った豪華な王船がこの行事の目玉で、人々が船を引いて街を練り歩き最後には海で盛大に燃やされます。

むやみに参拝をしてはいけない理由

陰廟
台湾では寺院や廟をむやみに参拝してはいけないと言われています。その理由の一つに陰廟があります。陰廟とは主に悪霊や身寄りのない方の霊を祀るための寺院。一般的な寺院が神々を祀るのに対し、陰廟は『陰』と呼ばれる霊的な存在、すなわち死者の魂や悪霊、さらには不運を招く霊的存在を鎮めるための場所です。陰廟の信仰は特に霊的な危険から守るための儀式や祈願が行われる場所として重要です。陰廟が存在する背景には死者や悪例を適切に供養し霊的な秩序を保つという考え方があります。

還願
またもう一つの理由としては願いが叶った後にお礼参りが必要な場合があるからです。これは『還願』と言い、神や仏に対して行った願いが叶った際にその感謝の気持ちを表すために行う儀式や行動をさします。これを忘れてしまうと失礼なだけでなく、将来の願いが叶わない。災いがおきるとも言われています。
還願が必要な参拝方法としては四面佛などが有名です。お礼参りをする時期もお祈りの時に四面佛へ伝える必要があるので、次いつ来れるか判断できない観光客はなおさら参拝は控えたほうが良いでしょう。還願期限は一般的に願望が叶ってから6ヶ月以内が望ましいとされています。
鬼月について
最後に台湾の民間信仰で有名な『鬼月』についてご紹介します。台湾では、旧暦7月から7月末までの約1ヶ月間を『鬼月』と呼びます。この期間は、霊界の門(鬼門)が開いて霊魂が人間界に帰ってくると信じられています。日本のお盆は主に先祖の霊を祀るのに対し、台湾の鬼月では、無縁仏や悪霊も慰め、彼らの怒りを避けるための対策も取られます。それ故に鬼月には様々なタブーがあります。
- 夜間の外出を避ける。
- 水辺に近づかない。
- 髪を切らない。
- 新しい事を始めない。
- 洗濯物を夜に干さない。
- お墓を訪れる。
- 音楽や声を控えめにする。
まとめ
今回は台湾の宗教、民間信仰についてご紹介してみました。私が台湾人講師の方に教わった知識だけでございますので、神様や宗教行事などはもっともっと沢山の種類がありますし、奥深い物でもあります。なので今回の記事はあくまで入口としていただき、以降は是非ご自身で実際に台湾を訪れて調べて勉強してみてもらえたら嬉しいなと思います。きっとその時には今まで以上に台湾旅行を楽しめるはずです。
それでは今回はこの辺で。
※参考資料PAPAGO遊学村
Chan Kei Profile

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