今回は台湾のヒューマンドラマ映画『ひとつの太陽』(原題:陽光普照)をご紹介します。
この作品は第56回金馬奨で作品賞を含む5冠に輝きました。金馬奨は台湾のアカデミー賞とも称される、名誉ある映画賞です。
監督は以前このブログでも紹介したことがある、『瀑布』の監督・鍾孟宏(チョン・モンホン)です。彼にヒューマンドラマを作らせたら、台湾で右に出る者はいないと言っても過言ではないほどの秀逸な作品を生み出します。
もちろん『ひとつの太陽』も期待を裏切らない素晴らしい作品で、心の奥底から震える感覚を味わえます。
また、前作『共犯』で主人公を演じた巫建和(ウー・チエンホー)が今作でも主演でアーフー役を務め、人気映画『一秒先の彼女』で主人公を演じたリウ・グアンティン(劉冠廷)は前作のグアタイとは全く異なる役どころを演じている点も注目です。
それでは、作品の紹介に参りましょう!
スタッフ・キャスト
監督
鍾孟宏(チョン・モンホン)
キャスト
巫建和(ウー・チエンホー)
陳以文(チェン・イーウェン)
柯淑勤(コー・シューチン)
劉冠廷(リウ・グアンティン)
許光漢(シュー・グアンハン)
あらすじ
次男の逮捕をきっかけにバランスを失った家族の崩壊と再生を描いた台湾発のヒューマンドラマ。
チェン家の次男アーフーが事件を起こし、少年院に送られた。自動車教習所の教官である父アーウェンは問題児のアーフーを完全に見放し、医大を目指す優秀な長男アーハオに期待を寄せる。
母はどちらの息子にも同様に愛情を注いでおり、夫婦の間には諍いが絶えない。ある日、アーフーの子を妊娠したという15歳の少女シャオユーがチェン家を訪れる。さらに追い打ちをかけるように、突然の悲劇が家族に降りかかる。
監督は「ゴッドスピード」「失魂」のチョン・モンホン。2019年・第32回東京国際映画祭「ワールド・フォーカス」部門上映作品。
※映画.comより抜粋
感想
この映画を観た後、昔観た嵐の二宮和也さん主演の映画『青の炎』を思い出しました。巫建和演じるアーフーが当時の二宮さんの役柄と重なるからかもしれません。
以前ご紹介した『共犯』の時もそうでしたが、無鉄砲だけど繊細な少年や青年が登場するヒューマン映画は、総じて内容が重く暗く苦しい作品が多いです。ある程度覚悟して観るものの、見終わったあとは疲れてしまうため、軽い気持ちでは見られません。しかしその分、良い映画に出会えた時の感動は計り知れないものがあります。
この『ひとつの太陽』が描く“光”──そして光がある場所に必然的に生まれる“影”。周りからは輝いて見えていても、次の瞬間には一気に影に覆われることもあり、またそこから再び光に照らされることもある。それはまるで人生そのもののようです。
タイトルの「ひとつの太陽(A SUN)」は、アーフーにうまく接することができず、それでも心の底から息子を思う父の姿と愛を象徴していると感じ、胸が震えました。
日常を丁寧に描く台湾映画らしさを保ちつつ、鍾孟宏(チョン・モンホン)監督の手腕によって、観客を絶え間なく作品の中に引き込むことに成功しています。皆さまもぜひNetflixでご覧になってみてください。
それでは今回はこの辺で。
私のSNS、YouTubeでは最新の台湾情報を随時更新しているので、是非フォロー、チャンネル登録をお願いいたします。それでは今回はこの辺で。
Chan Kei Profile

- 写真や動画を通して旅の魅力を伝えています。